○王立宇宙軍-オネアミスの翼-
映像 |
9点
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ストーリー |
9点 |
キャラクター
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9点 |
音楽 |
9点 |
魅力 |
9点 |
総合得点 |
45点 |
感想
<あらすじ>
オネアミス王国には、世界で唯一「宇宙軍」が存在する。
しかし、その実態は宇宙船も実績もない張りぼてのようなものである。
その宇宙軍中佐であるシロツグは、怠惰な男である。
訓練では、怠けることばかり考え、夜ともなれば仲間と一緒に乱痴気騒ぎを起こす始末。
子供の頃には、少々大きな夢を描いたこともあったが、今は宇宙軍が潰れたときの転職先のほうが気になっている。
そんなある日、夜の街でシロツグは、一人の少女と出会う。
神の教えを説き、チラシを配る彼女に、シロツグは心を奪われる。
彼女のまっすぐな姿に、シロツグは、邪な目的と共に宇宙への意欲を持ち始める。
そして、計画されていた世界初の有人宇宙ロケット開発に、宇宙飛行士として志願するのであった・・・
古き良き・・・という言葉は好きではありませんが
奇抜さはない代わりに、しっかりと作りこまれた画面、重厚感ある世界観は、静かな感動を与えてくれます。
この作品で、思ったのは、省略の上手さ。
訓練やロケット製造の過程は、その手順や関わる人々の動きなど、上手くこぼさないようにまとめています。
やはり、省略が上手い作品は、後々展開に無理をさせずにストーリーを進めることが出来るため、作品の完成度に違いが出てきます。
また、近年のアニメ作品は90分~100分という縛りでもあるかのような、尺ですが、この作品は120分。
アニメ映画を観ると、いつも、もう10分あればな・・・と思っていた僕としては、やっぱり、アニメだろうと実写だろうと、ストーリー物をしっかりやりたければ、最低120分前後は欲しいです。
この点については満足です。
キャラクターも秀逸です。
キャラクターデザインが良い事もあるでしょうが、絵を見るだけで、その人間がどういう人間であるかが分かることは、とても大事なのだと感じました。
演出やセリフでやらなくてはいけないことを絵で省略できるのが、アニメの利点でもあります。
今風の絵ではありませんが、書き込まれた表情や全体の雰囲気は、かなりグッときます。
シロツグが、どこか掴みどころのないキャラで、正直それに拍車をかけているのが、声優である森本レオの演技です。しかし、終盤の彼の熱い部分には、作品全体を引っ張り上げるだけの、気持ちがこもっています。
少々、ヒロインの存在意義が弱く感じる部分もありますが、シロツグを本気にさせる人間という点では、十分その役割を果たしていたように思います。
音楽はね・・・さすが坂本龍一。そんな感じです。
全体として、丁寧なつくりですが少々盛り上がりに欠けるかもしれません。
でも、作りこまれた脚本とストーリー。秀逸なキャラクター。雰囲気。全てが良質です。
GAINAXの本気がここにあります。
エヴァ、グレンラガン、ナディア、数々の名作を世に送り出してきたGAINAXの作品の中で、これが一番好きという発言もネットでは見ますが、うなづける出来栄えです。
是非、一度観てみてください。
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