○プレシャス
映像 |
8点 |
ストーリー |
9点 |
キャラクター |
8点 |
音楽 |
8点 |
魅力 |
8点 |
総合得点 |
41点 |
感想
<あらすじ>
プレシャスは、黒人で16歳の少女である。
見た目は太っていて、無口。
家庭状況は、最悪に近い。
父親に日常的に性的暴行を受けており、父親との間に一人の娘がいる。
そして現在も妊娠中である。
父親が出て行き、今は母親と二人暮らしで、母親は生活保護を頼みに生きている。
母親は、短気で嫉妬深く、プレシャスのことを一人の女として憎んでいる。
だが、プレシャスの娘への助成金欲しさと、一人ではまともに暮らしていけないため、プレシャスを家政婦のように使っているのである。
そんな最悪な状況で、彼女は日々、妄想の中に逃げ込むしかなかった。
しかし、ある日、妊娠を知った学校は、彼女に退学を勧告したのである・・・
酷い状況の中で、それでも自分で幸せを見つけ、前向きに生きて行こうとする女性を力強く描いた作品。
ただ、あんまりにも状況が酷すぎて、想像がつきません。
学校を退学となり、校長の勧めでフリースクールに通うことにしたプレシャス。
それは、彼女にとって、最後の悪あがきと言えました。
アメリカのスラムで黒人として生まれ、父親には犯され、母親には愛されず、貧しく不摂生な暮らしで、太りすぎた体。
そんな状況でも、幸せになった人は沢山居るでしょうが、分母を考えれば、高い確率ではないでしょう。
誰からも愛されていないと絶望し、こんな風に生まれなければ・・・
もし、ふとしたきっかけからスターになれたら・・・
美形の彼氏と幸せな結婚が出来たら・・・
彼女の、妄想には願望以上の切実な想いがこめられています。
しかし、それが野望のように実現へと向かう気持ちなら、まだ救いもあったのですが
彼女のそれは、母親にバカにされ続けた反動から来る、儚い「もしも」でした。
「お前はバカだ、ロクデナシだ」
そういわれ続け、それを否定できるような物は何も持っていない。
そんな風に沈んでいく自分を唯一引き上げてくれる可能性があったのが、教育でした。
しかし、彼女は字が読めませんでした。
そしてフリースクールで、彼女は字を学ぶことを始めるのです。
そこで、彼女は友人を得、愛を知ることになります。
人生で始めて愛を確かに感じ、それを表現する術を身につけるのです。
この流れは素晴らしいの一言。
ただ、方法論としては素晴らしいのだけど、脚色が微妙なのと、幸せをもっと劇的にみたかったのがあって、少し減点かなという感じです。
いい作品です。
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