○テラビシアにかける橋
映像 |
8点
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ストーリー |
10点 |
キャラクター
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9点 |
音楽 |
9点 |
魅力 |
10点 |
総合得点 |
46点 |
感想
<あらすじ>
ジェスは、絵を描くのが好きな少年で、少し内向的である。
そのせいか、クラスメイトにはからかわれ、それに対して何も出来ないでいる。
そんなある日、ジェスのクラスに転校生が来た。
レスリーという少女で、足が速く、文章が上手かった。
彼女の家は、ジェスの家の隣で、自然と触れ合う機会も増え、二人は友人となる。
しかし、彼らはクラスでは少し浮いた存在で、それをからかうクラスメイトや意地悪な上級生に、いつも悩まされていた。
二人で存分に遊べる場所が欲しかった彼らは、家の先の森に出かける。
そこには、壊れかけた秘密基地があり、彼らの想像力をかきたてる物があった。
レスリーの豊富な想像力とジェスの絵の上手さと感受性の高さは、そこにテラビシアという、一つの国を作り上げた・・・。
僕は、この作品凄く好きです。
まず、コンセプトが素晴らしい。
周囲からは、少し浮いていた二人が、自分たちだけの世界を作り、そこで遊ぶ。
そこには、彼らの豊かな想像力によって生まれた、様々なファンタジーが存在するわけです。
いつだか、芸術家の理想は、子供の思考を大人になっても持ち続けることだ、と聞いたことがあります。
年齢を重ねるにつれて経験する様々なしがらみ、又は現実的な幸福というものは、実は、大きなものを自分から失わせているのだということがわかります。
子供の想像力以上に突拍子もない、自由で、魅力的なものはないのです。
そして何より、それを心から楽しむことの出来る、純粋な心こそが、本当に魅力的なものなのですね。
この作品は、そこが存分に描かれています。
正直、最初は薄ら寒いものを感じたのですが、そんな自分に嫌気が差します。
「ウルトラスーパーローリングファイヤー」だの、「なんでも出来るスーパー自動車」だの、こんなに楽しいものが楽しめなくなっている自分に愕然としました。
厨二病は人生の黒歴史ではなく、もっとも輝いた時期かもしれません。
人々よ、もっと厨二たれ!!
まあ、正直言って、かなり完成度の高い作品です。
上質な脚本、巧みな心理描写、ラストの綺麗さ、少年たちの成長。
うーん。ブラボーです。
特に、この二人が、テラビシアという自分たちの世界を持ちながら、それに溺れて現実から離れていくのではなく、寧ろ、現実へと向き合うために、この世界があるように見えたところが、とても前向きで秀逸でした。
ただ、ファンタジー作品だと思ってみるのはやめたほうがいいですね。
何か大切なものを思い出させてくれる、傑作です。
必見です。
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