先程も書きましたが、映像は素晴らしい。
画面のどこを見ても、楽しい。
DVDがでたら一時停止を押したくなるアニメでしょうね。
多分、僕はやります。
で、内容ですが。
主人公・アリエッティは、小人の少女で、父母と3人暮らしです。
彼らは、家の軒下に家を作り、人間の家から、食べ物などを少しずつ「借りる」という暮らしをしています。
これが、「借りぐらし」なんですね。
父親と「借り」にいくシーンは、もう冒険ファンタジーさながら。
彼らには、人間に見られてはならないという掟がありますから、
見つからないように慎重に、壁の裏を隠れるようにして「借り」に行くわけです。
豆電球をライトの代わりにし、釘の階段を登り、食器棚をロープで昇り降りします。
アリエッティは、ただの角砂糖を両手で抱えるようにして持つんです。
至高のファンタジー世界は、こんなにも近くにあるものかと、思いました。
この作品の舞台は、現代の日本。
少し田舎とはいえ、そう遠くないところに、面白くも無いコンクリートだらけの光景が広がっている世界なんですが、体が小さい小人にとっては、現代日本も、西洋ファンタジーの世界とさして変わりは無いのです。
確かに、67億人のタイタンに支配された世界なんて、彼ら小人からすれば、魔王に支配された、魔物たっぷりの世界でしょうねえ。
もうね、最高です。
お父さんはベテランのハンターのようであり、娘と視聴者の尊敬を受けます。
アリエッティは、父親似であるようで、元気にチョロチョロと動き回ります。
ジブリならではの、美味そうなご飯、キャラの気持ちを言葉でなく絵で表現できる画力、アクションの秀逸さどれも欠けてはいません。
小人の生活を描いた序盤のシーンは、間違いなく最高の出来です。
お茶も表面張力でプルンとした水滴となって、カップに落ちるんです。
細かい演出の一つ一つが、小人たちの世界を教えてくれますし、それが面白い。
・・・とまあ、良いのはこの辺までです。
ズバッといいます。
話はツマンナイです。
正確には、つまらないというより、何がしたいのか分かりません。
話の展開は、
アリエッティは小人の掟にある「人間に見られてはいけない」という禁を破ってしまいます。
見られた相手は、心臓病の少年・翔。
翔は、手術を1週間後に控え、静かな環境の祖母の家に療養しに来ていたのです。
そこで、アリエッティを見つけ、強い興味を持ちます。
アリエッティも掟を破り、家族に迷惑をかけないための責任感と若さゆえの無謀さから、翔と交流をするようになります。
まあ、ネタバレはしない主義なので、これ以上は言いませんが。
結局、何が解決したのか分かりませんでした。
いや、解決するためのストーリーではなかったのかも知れません。
原作は未読ですし、どうにも情報不足です。
ですが、少なくともあのラストを迎えるような説得力は、途中にはありませんでした。
若干、根暗という感じではありますが、
上品な雰囲気と、つつましさを感じる翔の交流のあり方は
昨今の漫画・アニメにありがちな下半身で物考えているような、少年の交流よりは、情緒に溢れていましたが・・・、これは、宮崎脚本からの現代萌えアニメ批判でしょうか。
わっかんねえなあ。
まあ、あとは、ジブリといえば声優を使わないことで有名ですが。
神木龍之介君は、まあ、サマーウォーズですね。元気のない。
志田未来さんは、上手かったなあ。
さすが若手演技派です。アリエッティの声に違和感を感じませんでした。
アリエッティでは、それほど役者声優にがっかりはしなかったですねえ。
なので、絵も声も音楽も良かったのに、ストーリーで減点をしなくてはならないのが残念でなりません。
お願いだから、メッセージ性よりも見えるところをどうにかしてください。
作品において、伝えたいこと、メッセージというのは大事ですが、それは、話がちゃんとしてて初めて語られるもの。
アニメという手段を用いる以上、まずは外面をよくすることを考えるべきでしょう。
そういう点で、少し惜しいかなという印象でした。
ところで
ライバル・ピクサーの最新作。トイ・ストーリー3が既に公開され、大絶賛のようです。
僕は、観てないですけど・・・。
というか1しか観てないです。
子供心に、まあ普通でしたかね。人形たちのデザインが好きじゃないんですよね。
日本のアニメは目が大きいとか言う前に
写実なんだかディフォルメなんだか分からない、ギョロッとした瞳孔丸見えの目をどうにかしてこいと言いたい。
でも
残念です。
恐らく、アリエッティではトイ・ストーリー3には敵いません。
そもそも勝負ではありませんが、大好きなジブリと嫌いなディズニー。
2D重視の日本と2Dを馬鹿にした3D志向のアメリカ。
僕個人の勝手なプライドの問題です。
まあ、面白いものは面白いんだから、しょうがないんでしょうけど。
はあ・・・トイ・ストーリー3観にいこうかな。
きっと傑作なんだろうなあ。
むかつくなあ。
以上。
長文失礼しました。
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