○ブラック・スワン
映像 |
8点
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ストーリー |
8点 |
キャラクター
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10点 |
音楽 |
9点 |
魅力 |
10点 |
総合得点 |
45点 |
感想
非常に恐い映画です。
スポーツや芸能の世界には鬼が棲むと言います。
とくに「主役」や「レギュラー」という立場があるものは特にです。
何事もプロになるということは、伊達ではありません。
プロになるだけでも困難なのに、またその中で熾烈な座席の取り合いがあるワケです。
キツイでしょうねえ・・・
人格なんて軽く吹っ飛ぶでしょう。
ブラック・スワンは、バレエにおける、そんな話。
あらすじは
ニナは、非常に優秀なバレリーナである。
高い技術と正確な踊りで、一目おかれている。
しかし、端役の中では良い位置を任されるものの、プリマに選ばれたことは無い。
ある日、ニナの所属するバレエ団で、長くプリマを務めたベスが降板する事になった。
にわかに色めきたつ団員たち。
ニナもその一人であった。
ニナは、自分を生むためにバレエを辞めた母親からの、異常ともいえる愛情とプレッシャーから、主役を強く熱望していたのである。
新プリマのお披露目となる演目は、「白鳥の湖」
純真な白鳥と欲望に忠実な黒鳥の2役を、プリマは強いられる。
ニナは、懸命にオーディションで踊るが、監督から指名の意志がないことを知らされる。
それでもあきらめることの出来ないニナは、慣れない色仕掛けをしてまで、主役の座を得ようとする。
しかし、それも途中で怖気づき、失敗。
最早、望みは絶たれた、そんな失意の中の配役発表で
彼女は、プリマに選ばれる・・・
白鳥は、水面を優雅にゆきますが、その実、水面下では大変なバタ足でもがいているというのは有名な話で、芸能というのはまさに、この白鳥の例に非常に似ています。
煌びやかで洗練された舞台裏には、血のにじむような努力と
お世辞にも綺麗とはいえない、人間関係があるものです。
ブラック・スワンという映画は、この舞台裏に潜む狂気を、非常に激しく描いています。
だから、とにかく恐い恐い。
主役に選ばれてからニナは、様々なプレッシャーと戦うことになります。
その中でも一番彼女に重くのしかかったのは
「黒鳥」
彼女は、表も裏も清純なバレリーナでした。
才能と努力によって得た技術は、ほぼ完璧。
彼女にも、その自負がありました。
しかし、そんなストイックな彼女だからこそ、欲望のままに動く黒鳥の、悪魔的な色気を出せずに、いつまでも駄目出しを受けることになります。
主役への強い執着と今までの自分の努力と時間。
それに疑いが無かった分、黒鳥を演じきれないことが彼女を壊していきます。
映画のジャンルは、サイコスリラー。しかも15禁ということで
かなり過激で容赦の無い描写が続きますが、これが凄く良い。
華麗なバレリーナたちが口汚く罵りあう姿、性的な点で非常にハードです。
ストーリーもラストに向かって疾走するように盛り上がっていき、アカデミー主演女優賞受賞のナタりー・ポートマンの好演が、それに更なる説得力と迫力をもたらします。
バレエシーンについては、僕は、バレエを観たことが無いので分かりかねますが
素人が見る分には、迫力のある仕上がりでした。
一人の人間が欲望と狂気に支配され、壊れながらも目的を果たしていく姿を完璧に描ききっています。
ラストシーンには震えました。
是非見て欲しい一本ですね。
おすすめします。
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