○英国王のスピーチ
映像 |
8点
|
ストーリー |
8点 |
キャラクター
|
8点 |
音楽 |
9点 |
魅力 |
9点 |
総合得点 |
42点 |
感想
アカデミー賞は伊達じゃない。というのが一言感想です。
あらすじは
ヨーク公爵・アルバートは、吃音症に悩まされていた。
公の場での演説は、大の苦手で、克服しようと様々な医師にかかったが
一向に改善されなかった。
そんな時、妻からの勧めで、あるオフィスを訪れることになる。
そのオフィスの主ローグは、当時としては異端な方法で治療を行ったが、多くの人を回復させた男だった。
ローグは、公爵であるアルバートに対し、治療中は対等の関係であることを条件とし
友人に接するような態度をとった。
そんな不思議な治療に戸惑いながらも、アルバートは次第にローグに心を許していく。
そんな時、アルバートに最大の事件が起きる。
父王ジョージ5世のあとを継いだ、兄が結婚のために退位し
アルバートが王位を継がなくてはならなくなったのである・・・。
という感じで。
王にとって最も大事な仕事である「演説」
それを、吃音症によって満足にこなすことが出来ないことに苦しめられる王と
それに共に立ち向かった、言語障害の専門家の実話を基にした物語です。
非常に完成度が高い作品です。
いつも思いますが、良い映画は、一番最初にこの映画がどういう映画なのかを
分からせつつ、インパクトのあるシーンを入れてくれるので、映画の世界にに入りやすいです。
この作品も例に漏れず、アルバートが演説に失敗し、国民も自身も落胆するというシーンから始まります。
分かりやすいということは、本当に美点です。
ストーリーは、実話を脚色してあるので、矛盾や不明瞭な点がほとんど無い高レベルなものでしたが
少々、盛り上げにかけるような気がしました。
キャラクターは、派手さはありませんが、人間味が豊かで感情移入がしやすかったです。
演技も素晴らしく、吃音の苦しみが伝わってきます。
音楽は素晴らしく、人物の感情や物語の状況に非常に合っていて、より映画の世界へ没頭させてくれます。
全体として、何か突出したものがあるかといえば、ありません。
しかし、全ての要素が高水準で、それぞれが、それぞれの魅力を引き出すように
丁寧に作られていると感じました。
個人的には、もう少しカタルシスを感じられると良かったのですが
キャラクターの悔しさ無念さ、そして嬉しさといったものを、しっかりと感じ取ることが出来る。
上質な映画でした。
いや・・・すごいわ、アカデミー賞。
まあ、感想は終わりなんですけども
アカデミー賞の凄さを改めて感じて、今の日本について語りたい気が
ムクムクと沸いてきました。
くだらない話になりますので、まあ、読まんでもいいですよ。
僕が書きたいだけです。
アカデミー賞は凄い、受賞作の質が高い、高い。
本来こういう物は、非常に難しいものであると思います。
映画などの娯楽作品は、個人の好みが大きな部分を占めますから
こういった権威のある賞であっても、必ずしも面白いというわけではありません。
しかし、それでも大多数の人間を納得させるだけの結果を残してきたからこそ
今日まで、賞が存続し、そのネームバリューは凄まじいわけです。
僕は、決してアメリカという国を好意的には見ていませんが
こういう娯楽に対して正直なところは、感心してしまいます。
というのも
昨今の日本では、こういった賞というのは明らかにマーケティングの一環であり
「面白い作品」より「売れそうな作品」を上位につけがちだからです。
勿論、それは悪くありません。
売れてナンボの世界で、売ろうという意識を持たない方が不自然です。
「ランキングなんて広告だ!」
金払ってランキングの上位につけて、それ以上の金を得る。
「何が悪い!?」と聞かれれば、「悪くない」と答えます。
でも、多分ですけど・・・「悪くない」とは言っても、「良い」って言う人は少ないのでは?
たしかに、自分が全く知らない世界のランキングなら、どうであろうと特に考えもせずに「い~んじゃね~のォ?分かりやすいし」といえます。僕も言います。ファッションとかね。
でも、自分が特に力を入れてる分野だったら?
僕にとっては漫画ですが、自分が好きな分野のランキングって、興味ありますけど
でも・・・「あれ?・・・う~ん、まあ・・・そう、なのかな?」って思う物もあるはず。
そんなとき出てくる評価って、大抵「悪くは無いかな・・・」だと思うんですよね。
的は、外していないけど・・・でも、個人の趣味を外してみても「え?」と言いたくなるような、そんな感じ。
売れるには足るレベルのものばかりだけど、これは・・・評価されすぎだろう、というね・・・。
大手を振って非難できない分、非常に厄介です。
以前に比べて、日本は、こういった状況が増えてきているような気がします。
それは、「お願いランキング」などの番組が人気となり、バラエティ番組でも当たり前のように、メインの内容として何かのランキングを行うという状況にも表れていると思います。
僕を含め、日本人は、とにかくランキングに弱いです。
明確で分かりやすいという利点は、素晴らしいものですが
こんなに何でもかんでもランキングし、そのランキングを人々が妄信するようなことは
他国では、そうそう無いんじゃないですかね。
しかも、同じジャンルのランキングを5つも6つもの組織が発表するって・・・
何の意味があるんだ?
確かに、多くの視点からの総合的な第1位は決められるでしょうが
それに意味ってあるんですかね?
ランキングって言うのは、情報の中では一番、指標になる力が強いです。
でも指標って、いくつもあっちゃ駄目でしょ。
「これは、あのランキングで2位、でもあそこでは5位、ああ・・・これはアレで1位だった物だ・・・」
いつまで経っても決まりませんよ。
政権だって、あっちゃこっちゃ目移りするから、あの様です。
まあ、なんにしても問題はランキングそのものではなく
ランキングの大量発生と販促に傾きすぎた内容、信じすぎる人々です。
誰もが納得するランキングなんて作れません。
でもだからといって、販促の道具にするには、ランキングや賞は、刺激的過ぎます。
だって、ランキングに名前が載っているのと載っていないのとでは、まさに雲泥。
日本なら、金額にして2~3桁くらい違うんじゃないの?
こういう過剰反応おこすんだからさ。
そう易々と使っちゃいけないんですよ、ランキングって。
有限な人の興味や財産を、無駄にあおって、偏らせて、自由競争の場を乱すのはいかがかと・・・
どこかに水が流れ込めば、他のところは水が減るし、最悪枯渇してしまうんですよね。
それが、それぞれの実力や魅力ではなく、誰かの利益のための作為によって動かされているとしたら
それって、はたして「良い」んですかね・・・?
僕は、あえて言いたいのですが「悪い」と思います。
ついでに言えば、このような状況で古くからの権威ある賞でさえ、なんというか・・・
悪い意味で俗っぽくなってしまいそうで嫌です。
まあ、一番最悪なのは、そうやって影の支配者気取ってる、企業とかが
「流行はウチが作る!!」とか
「目立たない分野に光を当てて、経済を活性化!!」とか
本気で、「良かれ」と思ってやっていそうなところ。
結局、分不相応なブームって言うのは、すぐ引くし
ブーム後の「廃れ感」というのは、とんでもない足枷なんですよね。
常に「ああ~昔、流行ったよね。でも古いよ。」という、ほうっておけば、ジワリジワリと本当に息の長いヒットになったのかもしれないものを潰してしまう。
「もし」という未来は、見えませんから、何も証明するものはありませんが
一時の栄光は、取り返しの付かない衰退を招きます。
・・・結局、何が書きたかったのか・・・やっぱり思いつきじゃ上手くいきませんね。
書いてて、自分のことを棚上げしているような気がして、身につまされる思いがありましたし・・・
なんだかなあ・・・
付き合ってくれた方には、感謝します。
では。
PR