○インセプション
映像 |
10点
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ストーリー |
9点 |
キャラクター
|
9点 |
音楽 |
9点 |
魅力 |
10点 |
総合得点 |
47点 |
感想
<あらすじ>
機械によって他人と夢が共有できる世界。
企業のトップとも成れば、この技術を利用した産業スパイに対する対策は、必須のものとなっている。
主人公コブは、この夢の共有を利用し、人の頭からアイデアを盗み出す、凄腕の産業スパイ。
ある依頼で、彼は、サイトウという大企業のトップの夢に侵入するが、アイデアを入手できずに失敗。依頼主から命を狙われることになる。
そこに現れたのは、ターゲットであったサイトウ。
彼は、コブの腕を見込んで、逆に依頼をしてきたのである。
報酬は、世界中から命を狙われている上、ある事情で家族の元に戻れないコブを、帰れるように手配すること。それは彼にとって、かなえられない願いであり、最高の報酬でもあった。
しかし、サイトウの依頼は、非常に困難なものであった。
人の夢からアイデアを盗み出すより、はるかに難しい、人の頭にアイデアを埋めつける「インセプション」が彼の依頼であったからだ・・・
進化版マトリックスといえば簡単に表現できるでしょう。
夢の中で、現実では起こりえないことが起こり、それを楽しむ映画です。
マトリックスが、バトルに重きを置いた、なんちゃってSF作品であったのに対して(いや・・・十分面白い作品ですが)インセプションは、かなりSFをやっています。
SFは、やはり設定が一番大事です。
設定だけがSFをSFたらしめているのですから。
インセプションでは、夢の設定がとても細かく、面白く出来ています。
特に面白かったのは、この夢への侵入の仕事に、細かい役割があること。
基本、仲間の誰かの夢を使って、ターゲットを夢の世界に引きずり込むのですが、当然、そこはターゲットにとって違和感があってはいけない。
ターゲットに夢だと理解されたらおしまいですからね。逆に、コレに気づくための訓練が、産業スパイに対する対策となっているのですが・・・
その為、仕事前には、ターゲットの身辺を徹底的に洗います。
それを元に、「設計士」と呼ばれる人間が、夢の世界観を作り上げます。
また、夢の世界で自由自在に変装が出来る仲間や、相手の心理を、自分側に有利に誘導する心理的テクニックも必要です。
とにかく、夢に入れる・・・と言うだけでなく
そこに必要となってくる、プロフェッショナルやプロセスをしっかり描いたのがこの作品の凄いところだと思います。
その他にも、面白い設定が目白押し。
ただ、その情報が多すぎて、こんがらがってくるのも事実。
この作品が、初見より二度目が面白い、と表現されるのも頷けます。
映像の点でも、最新の技術を使って、夢の世界を描いているので、楽しくて溜まりません。
といっても、余りやりすぎてしまうと、夢の中の深層心理たちに排除されてしまうので、注意が必要というところもSFっぽい。
バトルもスピード感+夢の中という映像効果で、非常にワクワクするものになっています。
尺が長いだけあってストーリーもまとまりがあります。
夢の設定を生かした伏線が、上質で、ビリッときました。
キャラも、コブを主人公にしっかり置き、彼の内面と悩みを解決することが、この作品のミッション以外のもう一つのテーマとなっていて、それなりに盛り上がります。
初見では、設定を頭に入れながらストーリーを観ることに精一杯で
疲れてしまいますが、2度目。3度目となると、もっと余裕を持って観ることが出来るでしょう。
何度観ても新しい発見がある、情報量の多い映画です。
傑作です。
どうぞ、一度ご覧になってください。
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